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京都大学エネルギー理工学研究所

Institute of Advanced Energy, Kyoto University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
森井 孝
Morii, Takashi
キーワード
ゼロエミッションエネルギー、プラズマ・量子エネルギー、ソフトエネルギー、核融合エネルギー利用、高効率太陽光エネルギー利用、バイオリファイナリー、カーボンネガティブエネルギー
住所
〒611-0011
京都府宇治市五ケ庄
カーボンニュートラル社会を支えるエネルギー融合科学の構築を目指して

エネルギー理工学研究所は、1996年5月にエネルギーの基本要素であるエネルギーの生成・変換・利用の高度化に関する研究を行うために設立されました。エネルギーの散逸や有用物質の損失、有害物質の放出を最小限に抑え、高い環境調和性と社会受容性を持つ安全性に優れた、分散エネルギー(ソフトエネルギー)から基幹エネルギー(プラズマ・量子エネルギー)までの幅広い領域に対応したエネルギーの開発研究を行うことを目的にしています。このようなエネルギーを「ゼロエミッションエネルギー」と位置付け、これを実現するため、2011年度からは、全国の大学・研究機関における関連研究者との共同利用・共同研究拠点事業「ゼロエミッションエネルギー研究拠点」の活動を展開しています。研究所には、生成・変換・利用をそれぞれ冠した3部門に属する14研究分野と、部門・分野間の融合研究や産官学連携を推進する附属エネルギー複合機構研究センター(4研究分野)を配置して、特色ある最先端の研究施設を活用しながら、エネルギーに関わる多種多様な先端研究に取り組んでいます。カーボンニュートラル社会でのエネルギーの在り方を、自然の摂理や原理にまで立ち返って探究し、新しいエネルギーの創出と学理の構築を目指すとともに、次世代を担う研究者の育成に努めています。

令和3年度の研究活動内容及び成果


「ソフトエネルギー研究」では、これまで研究所が培ってきたナノ炭素材料、光電子デバイスや人工代謝経路の新しい原理、バイオマスの精密構造解析やバイオリファイナリーの技術、中赤外自由電子レーザーの技術を深化させるとともに、2017年度まで行ってきた太陽光エネルギーを効率的に利用する革新的原理・技術の開拓プロジェクトの研究成果をさらに発展させました。「プラズマ・量子エネルギー研究」では、ヘリカル状の三次元磁場構造を持つプラズマ閉じ込め装置「Heliotron J」を用いて、複雑なプラズマ現象の解明と制御を中心に、高性能の核融合プラズマを実現するための基礎研究を行いました。また、それらを支える機能材料や構造材料の開発研究、ブランケットやトリチウム挙動をはじめとした核融合炉工学に関する先導的な研究を展開しました。

2021年度の成果例

極限半導体と磁性体からなるモアレ構造での新しい準粒子

規則正しい模様がわずかにずれて重なった時に生じる干渉縞模様のことを、フランス語の語源からモアレ(moiré)縞と呼び、我々の日常のマクロなスケールでもこのモアレ縞をしばしば目にします。近年、グラフェンに代表されるわずか原子数層の極限的な薄さを持つ二次元物質を重ねることで、ミクロなモアレ縞が生じ新たな物理現象が現れ、モアレの物理として注目を集めています。本研究所松田一成教授らのグループは、二次元物質である単層二セレン化モリブデンと磁性物質との人工的なモアレ構造を作製し、モアレ縞に起因する詳細な研究を進めました。その結果、モアレ荷電励起子(トリオン)と磁気的なスピン励起(マグノン)が結合した、マグノン・モアレトリオンと呼ばれる新たな準粒子の観測に成功しました。このマグノン・モアレトリオンは、磁場でその状態を制御しうるため、本研究成果はその学術的な意義に加えて、磁気量子デバイス応用に向けた新たな指針を与えるものと期待されます。

鉄鋼及びセメント産業のベトナム、ラオス、カンボジア間の地域共同処理スキームによる資源・環境への利益を明らかにしました

ベトナム、ラオス、カンボジアのセメント工場にて鉄鋼スラグを共同処理する割合をこれまでの1%から10%に増やすことにより、年間83万〜833万トンの石灰石を節約することができ、また95万〜907万トンの炭素排出量の削減が可能なことを明らかにしました。本研究では、内部および外部のコストを含む、共同処理の組織的・経済的実現可能性や、このスキームによる大気汚染物質や水質汚染物質などの環境影響、さらに水処理プラントからの廃棄物の流れなどについて包括的に取り扱う必要性についても議論しています。

社会との連携


産学連携・広報・アウトリーチ

基礎から応用まで、多様な要素を含むエネルギー研究は、産業界や国公立研究機関との連携が欠かせません。そのため、研究所の多様な研究施設を供用することで研究の幅を広げ、社会への展開を貢献を積極貴的に行っています。また、研究所活動を社会に発信する機能を高めるとともに、将来の科学技術を担う中高生に対して見学会や大学院生との交流会を行うなど、社会貢献を積極的に行っていいます。

MMR装置群

MMR装置群

KU-FEL

KU-FEL

DuET

DuET

高校生対象見学会

国際交流

世界各国の研究機関と交流協定(17ヶ国37機関)を結び、積極的な交流を行っています。また、毎年著名研究者を招聘した国際シンポジウムを開催し、国際的な情報発信と交流を積極的に行っています。とくにアジア地域との交流では、日本学術振興会(JSPS)の「拠点大学交流」(日韓)や「アジア研究教育拠点事業」(日中韓)による先進エネルギー科学における15年に及ぶわが国のハブとしての実績に基づく東アジア地域での国際交流を初め、日本学術振興会研究拠点形成事業や、東南アジア地区における国際共同研究プラットフォーム(JASTIP)などの活動に力を入れています。

JASTIPでの国際共同研究の一例

JASTIPでの国際共同研究の一例

磁場の多様性が拓く超高温プラズマダイナミクスと構造形成の国際研究拠点形成

磁場の多様性が拓く超高温プラズマダイナミクスと構造形成の国際研究拠点形成

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