東日本大震災という未曾有の災害を経験した東北大学は、英知を結集して被災地の復興に貢献し、大災害による大きな被害を二度と繰り返さないため、災害科学国際研究所(IRIDeS)を設立しました。本研究所の特色は、工学、理学、人文・社会科学、医学、防災実践の研究者が協力して世界最先端の研究を推進する学際性、ならびにレジリエント社会の構築と被災者への貢献を直接目指す実践性にあります。IRIDeSは、世界の防災指針「仙台防災枠組2015-2030」をはじめとする国際アジェンダを推進し、国内外の関係機関と連携して世界が必要とする災害科学の知の創造と蓄積に貢献すること、そしてそこから得られた知見を迅速に発信してローカルかつグローバルに実践し、東日本大震災をはじめとする災害による被災者の助けとなることを目指しています。
2023年5月、ニューヨーク国連本部で各国首脳級が参加するハイレベル会議が開かれ、世界の防災指針「仙台防災枠組2015-2030」の目標達成状況を確認する中間評価が行われました。本研究所からは、栗山進一所長、小野裕一副所長をはじめとする関係教員が日本政府代表団の一員として出席し、議論に加わりました。
ハイレベル会議では、仙台防災枠組が発展途上国を含む各国に浸透した反面、気候変動、COVID-19、ウクライナ危機などの影響で、目標達成状況は想定を大きく下回っていることが共有されました。同会議の政治宣言で、同枠組が有効な2030年までの残る7年、学術の参加も重要になると指摘されたことを受け、本研究所として今後も引き続き尽力していくことを確認しました。
2023年9月28日、本研究所は、関東大震災や東日本大震災の教訓を今後の防災につなげることを目的としたシンポジウムを、一般公開・ハイブリッド形式で開催しました。シンポジウムでは、理学および都市防災の専門家による2つの特別講演に続き、多様な分野の若手研究者を中心に関東大震災に関連する最新の研究発表が行われました。また、「1923年関東大震災と2011年東日本大震災の教訓を、次の災害にどう生かすか」を話し合う学際的なパネルディスカッションも行われました。従来、関東大震災は東京・神奈川などの被災地を中心に議論されることが主でしたが、その影響は日本全国、海外にまで及ぶことも指摘されました。当日は、会場・オンライン双方を含めて全国から約160人の参加がありました。
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