本研究所は、極限の薄さを持つナノシートや表面・粒界を含む二次元ナノマテリアルを基盤とした機能性ナノ材料の創製や、日本で唯一の爆発実験施設や世界トップレベルのパルスパワー実験施設など極限のプロセス環境を利用した物質科学研究を強く推進しています。近年、世界中で二次元材料の研究が盛んに行われており、既に国外では多くのナノシートに特化した研究機関が設立され、新しい産業の創出につながる優れた成果が次々に創出されている状況です。このような世界の状況の中、本研究所は、二次元ナノマテリアル研究を核として世界をリードする成果を発信すべく、強みである極限プロセスを発展させながら、極限構造を持つ二次元ナノマテリアル研究開発の理論から産業展開まで、一貫して二次元ナノマテリアルを科学する研究拠点を目指しています。
本研究所が保有する特殊装置を外部に開放する共同利用共同研究支援として56件の共同研究課題を採択し、25報以上の共同研究関連の研究成果論文が発表されました。本年度から共同利用装置として、冷陰極電界放出形電子銃と高次の収差まで補正可能な新型球面収差補正装置を搭載した原子分解能分析電子顕微鏡を追加して、支援環境を強化しました。2023年9月に国立大学附置研究所・センター会議第1部会シンポジウムを開催し、極限材料・極限環境プロセスの新展開に関して議論を深めるとともに、研究所の研究成果の一部を発信しました。また、2024年3月に共同研究成果報告会と産業ナノマテリアル研究所国際シンポジウム(International Symposium of the Institute of Industrial Nanomaterials (IS-IINa 2024))を開催し、多くの皆様にご参加頂きました。
2023年5月に、熊本大学は本研究所がこれまで連携を強化してきた株式会社ダイセルと包括連携協定を締結しました。2022年に設置した「ワンタイムエナジー共同研究講座」を中心に、本学の複数部局と連携しながら本研究所が持つ極限プロセス環境を利用したパルスパワーなどの衝撃エネルギー関連の研究成果とダイセルが持つワンタイムエナジー技術を融合することで、まだ世の中にない新たな価値の共創を目指しています。
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