放射光科学研究所では、小型放射光源(HiSOR)が発生する紫外線~軟X線域の放射光を利用し、世界最先端の計測技術を用いて超伝導や電子スピンに由来する量子現象を研究する固体物理学および溶液中の生体高分子の立体構造を研究する物性・生命異分野融合領域の研究、ならびに高輝度小型放射光源や挿入型光源に関する研究を行っています。
また大学の中に置かれた研究拠点として、多様な文化や背景を持つ国内外の大学・研究機関の第一線の研究グループとともに研究課題に取り組み、互いに学ぶことのできる環境を活用した、学部・大学院生および若手研究者の育成を進めています。
αシヌクレインは、パーキンソン病を誘発する“アミロイド線維”を形成するたんぱく質です。αシヌクレインが神経細胞のシナプス小胞膜と結合すると、らせん状のヘリックス構造をとります。しかし、パーキンソン病を発症する時は、αシヌクレインはシート状のストランド構造に変化してアミロイド線維となり、それがシナプス小胞膜表面に蓄積していきます(図1)。シナプス小胞膜表面のαシヌクレインの構造変化に、パーキンソン病の発症の秘密が隠されていると考えられますが、これまで生体環境下で細胞膜と結合したたんぱく質の構造を調べる方法がありませんでした。そこで本研究では、放射光を用いた真空紫外円二色性分光測定および直線二色性分光測定を行い、この謎の解明に挑みました。
本研究では、生理的環境に近い条件下で、シナプス模倣膜に結合したαシヌクレインの構造を、放射光実験と理論的な分子動力学シミュレーションを組み合わせることにより初めて明らかにしました(図2)。その結果、溶液中に塩がある場合には、膜と結合したαシヌクレインの構造が変化し、アミロイド線維を形成することがわかりました(図3)。今後、アミロイド線維の蓄積が原因と考えられるパーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患の抑制や治療への応用が期待できます。
本研究所は、中国地域の小・中・高校の体験学習、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)研修などで多くの児童・生徒を受け入れ、VRによる施設見学を含む「VR先端科学体験セミナー」を提供しています(図1、2)。また加速器科学国際育成事業(KEK)による加速器科学分野の人材育成を進めています。さらに社会人向けの公開講座を広島駅前「広島大学きてみんさいラボ」で開催しています。研究と教育の社会連携が共感を呼び、地域と社会の好循環へと発展しています(図3)。
※1 : http://www.hsrc.hiroshima-u.ac.jp/outreach/activity.html#2024
北海道大学
帯広畜産大学
東北大学
弘前大学
筑波大学
群馬大学
千葉大学
東京大学
東京外国語大学
東京科学大学
一橋大学
新潟大学
富山大学
金沢大学
信州大学
静岡大学
名古屋大学
京都大学
大阪大学
神戸大学
鳥取大学
岡山大学
広島大学
徳島大学
愛媛大学
高知大学
九州大学
佐賀大学
長崎大学
熊本大学
琉球大学