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岡山大学惑星物質研究所

Institute for Planetary Materials, Okayama University
  • 第1部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
芳野 極
Yoshino, Takashi
キーワード
地球惑星物質科学、惑星深部ダイナミクス、高温高圧実験、 鉱物・マグマ物性、主要・微量元素分析、同位体分析、年代測定、 アストロバイオロジー、リモートセンシング
住所
〒682-0193
鳥取県東伯郡三朝町山田827

岡山大学惑星物質研究所は、平成28年4月、地球物質科学研究センターを改組して発足しました。地球や太陽系の起源、進化及びダイナミクスの解明を目指し、物質科学的な手法による実証的研究を進めています。また共同利用・共同研究拠点として、物質科学的な研究手法に関わる研究資産と経験を、国内外の研究者に積極的に提供し、質の高い共同研究によって先進的な惑星物質研究を牽引する役割を担っています。さらに、国際的な環境での大学院教育や、15年以上継続して実施している「三朝国際学生インターンプログラム」等を通じて、世界で活躍できる次世代の研究者を育成しています。令和6年4月に改組を行い、新たに惑星表層環境部門を立ち上げ、より実践的な地球環境問題や惑星移住を目指した物質科学的研究を推進する計画です。

令和5年度の研究活動内容及び成果


高温高圧実験による地球・惑星深部物質の構造物性の解明

本研究所の伝統的な強みである大容量マルチアンビル装置による温度圧力発生技術を活かして、地球や地球型惑星深部物質の様々な物性(レオロジー、電気伝導度、熱伝導度、元素拡散等)測定を実施し、地球・惑星深部マントルと核の構造・ダイナミクスに関する多くの研究成果を挙げています。地震波減衰の周波数依存性へのマントル岩石中の水の効果を調査したところ、海嶺から離れた海洋プレートの底で地震波速度が急激に減少する原因がアセノスフェアに水が存在することで説明できます(Liu et al., 2023)。

地震波減衰実験から得られた減衰の周波数依存性への水の影響と地震観測結果との比較

地震波減衰実験から得られた減衰の周波数依存性への水の影響と地震観測結果との比較

地球惑星物質総合解析システムの発展と、物質化学研究の深化

本研究所のユニークネスを体現する地球惑星物質総合解析システム(CASTEM)を用いた小惑星リュウグウ帰還試料の解析によって、粒子間においてアミノ酸であるN,N-dimethylglycine(DMG)の存在度が大きく異なることが見いだされました。これは、精密な有機・無機化学データを同一試料から極微少量で決定できるCASTEMの特徴が十分に活かされた研究です。この技術を様々な地球惑星物質に適用することで、物質の起源・進化・ダイナミクスに関する研究を進めています。A0022粒子にはDmgが豊富に含まれている一方、C0008においては検出限界値以下でした。両粒子の鉱物学的、地球化学特徴も考慮すると、A0022はC0008に比べより強く水質変質を受けた可能性があり、変質の程度によってアミノ酸の構成が変化することを示唆しています(Potiszil et al., 2023)。

小惑星リュウグウ帰還粒子C0008およびA0022中のアミノ酸存在量

小惑星リュウグウ帰還粒子C0008およびA0022中のアミノ酸存在量

 

社会との連携


毎年国際公募により、学部3・4年生ならびに修士課程学生を対象に、6週間の「三朝国際学生インターンプログラム」を実施しています。このプログラムでは,本研究所教員が提案した研究プロジェクトをインターン学生が実施するタイプの共同利用研究が行われます。最終的に国際誌に論文として公表される場合も多い先進的な研究を経験できることが最大の特色です。インターン学生にとって、高度な実験・分析技術の実体験に留まらず,研究者としての思考プロセス習得やプレゼンテーション能力の向上、研究への情熱の涵養にも繋がっています。本プログラムでは、これまでに150名以上のインターン生を輩出しており、その多くは現在各国の主要研究機関で研究者として活躍しています。ここ2年間は世界的新型コロナウイルス感染拡大を受けて、中止となっておりますが、令和5年度からプログラムを再開しました。

インターンシッププログラムのラボツアーに参加する学生の様子

インターンシッププログラムのラボツアーに参加する学生の様子

 

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