衛星によるリモートセンシングは、広域の地球環境を同時に、かつ繰り返して観測できるため、地球環境のモニタリングにおいて必須の技術となっています。環境リモートセンシング研究センター(Center for Environmental Remote Sensing, CEReS) は1995年に設立され、次の三つのミッションを持って研究活動を行っています。
CEReSは国内の関連コミュニティ機関と積極的に連携して共同研究を行い、データの観測・解析・公開・共有を通じて診断的な地球環境科学研究の発展に貢献しています。また、アジア諸国等との国際共同研究や大学院教育等を通じたリモートセンシング研究者の育成にも力を注いでいます。
マイクロ波レーダを用いたリモートセンシングは、昼夜を問わず、また、雲や霧があってもそれを透過して地表面の観測を行うことが可能です。CEReSでは、独自の偏波技術に基づいて航空機や無人航空機や成層圏プラットフォームシステムや小型衛星に搭載できる軽量の円偏波合成開口レーダ(CP-SAR)の開発を行い、航空機搭載による実証実験を実施し、性能評価、応用開発を行いました。今後は成層圏プラットフォームなど搭載SARとAIによる地表面変動をはじめ、植生変化、豪雨時の地表面状態、精密農業、地区分析管理等のリアルタイムモニタリングなどへの応用が期待できます。
2022年度から開始したムーンショット目標8おいて、海上豪雨生成によって陸域集中豪雨被害を緩和させるためのコア研究課題を推進しています。気象や防災に加え、数理・情報・哲学・法学研究者や、損害保険・気象予報業務会社など、産学・異分野横断研究グループで推進しています。
ひまわりでよく知られている静止気象衛星は、10分に1回といった従来の衛星観測に比較して非常に高い頻度で地球表層を観測します。さらに最新の静止気象衛星では、観測性能が向上し、1km解像度のカラー画像を取得でき、陸域モニタリングへの応用が可能になっています。世界の静止気象衛星を国際共同研究によりネットワーク化し、植生変化など陸域のモニタリングを推進しています(https://ceres.chiba-u.jp/geoland/)。
最大の地球環境問題のひとつとして人類の持続可能性までも脅かしている気候変動の影響が「気候危機」として世界各地で顕在化してきています。気候危機の原因が人間活動にあることは疑う余地はなく、その緩和および適応に向けた対策が急務となっています。地球大気環境変動研究において、リモートセンシング技術は地球規模で長期にわたって均質なデータをもたらす唯一の方法であり特に重要です。当センターは独自の世界最先端のリモートセンシング技術・データなどを基盤に、国際地上リモートセンシング観測網を主導して広く国内外の研究機関と国際共同研究を進めています。衛星リモートセンシングも組み合わせ、ローカルだけでなくグローバルにも顕在化している様々な予測困難な現象に特に着目して、地球大気環境変動研究を推進しています。
図. CEReSが主導している2つの国際地上観測網(SKYNET、A-SKY)。
CEReSでは、ひまわり8/9号データをリアルタイムで処理し、精密な位置補正を行い、ユーザが使いやすい座標系に変換したデータを公開しています。リアルタイム動画は、次のサイトでご覧いただけます。
http://quicklooks.cr.chiba-u.ac.jp/~himawari_movie/index.html
気候変動の適応策として期待される農業保険は食料安全保障のための重要な社会インフラとして各国で運用されています。JST/JICA-SATREPSプロジェクトにおいて、保険の対象である水稲の干ばつ害、病虫害、水害について空間情報を駆使した損害評価プロセスを創りました。構築した手法の有効性はインドネシア中央政府によって承認され、西ジャワ州内及び他7州に広く展開するためにプロジェクトのフォローアップ活動を推進中です。
https://www.jst.go.jp/global/kadai/hyouka/pdf/h2804_indonesia_terminal-evaluation-report.pdf
図. リモートセンシングで水稲の損害評価の例
北海道大学
帯広畜産大学
東北大学
弘前大学
筑波大学
群馬大学
千葉大学
東京大学
東京医科歯科大学
東京外国語大学
東京工業大学
一橋大学
新潟大学
富山大学
金沢大学
静岡大学
名古屋大学
京都大学
大阪大学
神戸大学
鳥取大学
岡山大学
広島大学
徳島大学
愛媛大学
高知大学
九州大学
佐賀大学
長崎大学
熊本大学
琉球大学