多元物質科学研究所(略称:多元研)は、60年の歴史を持つ旧3研究所(選研・素材研、科研、非水研・反応研)を融合させ、多元物質科学に関する基礎と応用の先端的研究を推進し、本学4研究科(工学研究科、理学研究科、環境科学研究科、生命科学研究科)と協力し、次世代を担う若者の教育研究活動を行い、世界的視点から思考できる指導的人材を育成し、地域と世界に貢献することを使命としております。さらに、北海道大学電子科学研究所、東京科学大学総合研究院化学生命科学研究所、大阪大学産業科学研究所、九州大学先導物質化学研究所と共に、大学の枠を越えた日本を縦断するネットワ-ク「物質・デバイス領域共同研究拠点」を形成し、新しいタイプの共同利用研究所としての活動をしています。
東北大学青葉山新キャンパスに整備された3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの運用が2024年4月より開始されました。本研究所の高橋幸生教授らのグループは、住友ゴム工業株式会社、東北大学サイバーサイエンスセンターとの共同研究により、テンダーX線タイコグラフィで世界最高性能となる20 nm未満の空間分解能を達成しました。また、リチウム硫黄電池正極材料の微細構造を50 nm未満の分解能で観察することに成功しました。本システムを改造することで10 nm未満まで分解能を向上させられることが見込まれています。本研究成果は、2024年5月7日付で、Applied Physics Express にNanoTerasuを用いた初の学術論文として掲載されました。
ガスセンサーは、工業生産や環境モニタリング、人間の健康リスクの早期発見において重要な役割を果たしており、人間の社会活動に不可欠なデバイスの一つとなっています。しかし混合ガス中では、同種ガス同士の干渉が起きるため、ガスの種類を詳細に判別できない可能性があります。本研究所の殷澍(イン シュウ)教授らの研究グループは、北陸先端科学技術大学、大阪大学との共同研究により、単斜晶二酸化バナジウムVO2(M1相)において観測された同種の性質を持つガスにおける異常なガスセンシング反転挙動に着目し、これまでにない新しいガス検知選択性の仕組みを提唱しました。標的となるガスをより顕著に区別でき、優れた「ガス検知選択性」を実現することが可能な新たなコンセプトを提案しました。さらに、ヒト代謝排泄物の主要な気体成分と関連付け、ヘルスケア用途のガスセンサーとして、異なる種類の排泄物を同時に識別できるフレキシブルなおむつセンサーを発明し、特許出願しました。研究成果は2024年12月19日付で、Advanced Materials にオープンアクセス学術論文として掲載されました。
地域社会との連携や交流の促進を目的として、宮城県・仙台市の主催事業を中心とした各種教育イベントに積極的に参画しております。
7月に開催された体験型・対話型の科学イベント 『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ2024』には、「ナノ」や「科学」を学べる講座プログラムや体験ブースを出展し、子供から大人までたくさんの方に楽しんでいただきました。
みやぎ県民大学開放講座は、7月から8月にかけて5回開講しました。2024年度は、「生命と化学の接点」と題し、生体成分である核酸、タンパク質に焦点を絞り、生命科学と化学の接点をテーマに最新の研究をわかりやすく説明しました。
本研究所技術室の機械工場では、仙台市教育委員会が「自分づくり教育」の一環として推進する中学生職場体験活動を継続して受け入れています。実際に3D-CADで設計したり、機械を操作して素材を加工するなど、3日間にわたり様々な体験活動を工夫して実施しています。
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