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帯広畜産大学原虫病研究センター

National Research Center for Protozoan Diseases, Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


センター長
井上 昇
Inoue, Noboru
キーワード
原虫病、ベクター、WOAHコラボレーティングセンター、アジア・アフリカ、獣医科学、国際協力、高度専門人材育成
住所
〒080-8555
北海道帯広市稲田町西2線13番地
地球規模での原虫病の監視制御を目指して

帯広畜産大学原虫病研究センターは1990年に学内共同利用施設として設置され、2000年には全国共同利用施設として、また2009年には共同利用・共同研究拠点「原虫病制圧に向けた国際的共同研究拠点」として文部科学省に認定されました。一方、2008年には、原虫病分野では世界初の国際獣疫事務局(WOAH)コラボレーティングセンターに認定されました。原虫病研究センターは、原虫病に特化した研究拠点として、国内外の最先端原虫病研究の先導役(先端研究)、地球規模での原虫病の監視制御の司令塔役(国際協力)、ならびに国内外の原虫病専門家の育成役(人材育成)を三大ミッションとしています。

令和5年度の研究活動内容及び成果


新たな脅威をもたらす第3の高病原性ウシバベシア原虫(新種)の発見

最近私たちが発見した高病原性バベシア種(Babesia sp. Mymensingh)は世界に広く分布することが分かってきました。そこで、Babesia sp. Mymensinghのミトコンドリア、プラスチド、核の遺伝子群を解析し、本原虫種の系統学的位置を検証しました。その結果、本原虫種は既存のバベシア2種(Babesia bovisBabesia bigemina)とは異なるユニークな系統学的位置を占め、かつBabesia bigeminaと共通の祖先の姉妹クレードを形成することが明らかとなりました。形態学的並びに遺伝学的特徴から、私たちは本原虫種が新種であることを証明し、 “Babesia naoakii”と命名しました。これはバベシア研究史上111年ぶりとなる高病原性バベシアの新種命名です。Babesia naoakiiは我が国においても動物検疫をすり抜けて国内にその感染牛が侵入してしまう危険性があります。そのため、水際対策に活用できるBabesia naoakii特異的な診断法を整備しておかなければいけません。

ウシ赤血球内に寄生している高病原性ウシバベシア原虫3種の染色血液塗抹標本像

ウシ赤血球内に寄生している高病原性ウシバベシア原虫3種の染色血液塗抹標本像

ウシバベシア症の現地調査(スリランカ)

ウシバベシア症の現地調査(スリランカ)

 

社会との連携


国際獣疫事務局(WOAH)コラボレーティングセンターとしての活動

WOAHは獣医版WHOと例えられる国際機関です。当センターでは2007年に専任教授2名がウマピロプラズマ症、ウシバベシア症およびスーラ病のWOAHリファレンスラボラトリー専門家に任命され、その翌年には当センターが原虫病分野では世界初となるWOAHコラボレーティングセンターに認定されました。その後継続的にWOAHが定める上記3種類の家畜感染症の診断・ワクチンマニュアル等の改訂や国際的なクライアントからの確定診断や技術指導の要望に対応し、国際的な家畜防疫対策の一翼を担っています。近年では国際的に生体で移動する競争馬や乗馬用のピロプラズマ症検査依頼が急増し、R5年は8ヶ国1,953検体の検査依頼を受けました。国内外での技術指導や教育公演も積極的に実施して当該疾病対策の普及と啓蒙に貢献しています。

学生たちと原虫病研究について議論する様子(中国・新疆農業大学にて)

学生たちと原虫病研究について議論する様子(中国・新疆農業大学にて)

動物検疫所(横浜)での家畜トリパノソーマ症防疫に関する公演

動物検疫所(横浜)での家畜トリパノソーマ症防疫に関する公演

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