被ばく医療総合研究所は5部門から構成され、外部・内部被ばく線量評価、染色体解析・生物学的影響に関する研究、放射性核種の環境動態、放射化学分析法の開発、被ばく医療などの基礎研究を行っています。
また、弘前大学は原子力規制委員会から原子力災害に対応するナショナルセンターに指定されており、その中で本研究所は平常時及び緊急時における高度被ばく医療に関する支援業務の一翼を担っています。さらに、平成31年度から筑波大学放射線・アイソトープ地球システム研究センター等とともに文部科学省より共同利用・共同研究拠点(拠点名:放射能環境動態・影響評価ネットワーク共同研究拠点)に認定されました。
当研究所は、弘前大学の特徴的な取組みの一つである「被ばく医療と放射線防護に資する基礎研究」を推進する専門家集団として、国内外機関と緊密な連携による研究活動を推進するとともに、放射性物質における環境動態研究および放射線防護・被ばく影響研究の国際的な中核拠点形成を目指していきます。
計測技術・物理線量評価部門の床次眞司教授が米国特許商標庁に出願していた「RADIOACTIVE FINE PARTICLE MANUFACTURING SYSTEM AND METHOD(放射性微粒子製造システムおよび放射性微粒子製造方法)」が正式に登録されました(米国特許番号:11688525)。
この技術は、関連法令の制約を受けることなく安全に放射性微粒子を製造するものです。この技術の活用により、原子力施設からの予期しない放射性微粒子の放出を監視するモニタ(ダストモニタ)の開発に役立ちます。さらには、福島第一原子力発電所の廃炉作業時に用いるダストモニタの校正や、性能評価などに広く利用されることが期待されています。
また、同特許は日本及び欧州でも登録されています(特許第7095894号・EP1877062.6)。
令和5年12月27日から28日にかけて、福島県立福島高等学校の生徒4名と福島大学共生システム理工学類の学生1名が被ばく医療総合研究所にてラドン測定に関する研修を受けました。福島高等学校は、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールの指定を受けており、その活動の一環として福島県内およびタイ国内におけるラドン調査を行っています。このラドン調査では、計測技術・物理線量評価部門が開発した固体飛跡検出器を検出原理とするラドン測定機器が用いられています。今回の訪問では、ラドン測定機器の原理を学ぶとともに、実際に調査で使用したラドン測定機器に記録されたデータからラドン濃度の評価を行いました。また、チュティマ・クランロッド助教(タイ出身)による講義では、タイ国内の屋内ラドン濃度の分布を学び、今回の測定で得られたラドン濃度との比較を行いました。さらに、大森康孝准教授から話題提供として、福島県浜通り地域で実施している環境放射能調査(環境省・令和3年度放射線の健康影響に係る研究調査事業新規採択課題)や、カザフスタンにおけるラドン調査(科研費(海外連携研究)採択課題)に関する講義を行いました。
本研究所では、引き続き、福島県立高等学校のラドン調査に対する技術的支援を行っていきます。
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