2012年12月の設立以来、福島第一原発事故による環境中の放射性物質の拡散・輸送・沈着・移行の実態とメカニズムを解明し、長期的な汚染状況と被ばく線量の予測を通じて原発事故影響の早期収束に尽力してきました。
2019年より国内6研究機関による研究拠点の中核機関として、国内外の研究者らと共同研究を推進しています。公募研究への応募課題も多岐にわたり、分野横断型の新しい学術領域創出にも繋がっています。
2023年4月には応用加速器部門、放射線影響医学部門、アイソトープ宇宙・地球化学部門が加わり、放射線・アイソトープ地球システム研究センターが発足しました。
これにより、新たな研究の活性化、研究基盤の強化、安全教育の充実をさらに推進し、今後も地球規模課題を解決する知の創造と人材を創造する「世界的な教育研究拠点」を目指し、地球環境科学に放射化学や放射線影響学、原子力学などと、アイソトープを用いた地球環境変動の解明を目指す研究により一層尽力してまいります。
令和5年度の共同研究拠点事業として「重点共同研究」86件、「若手共同研究」26件、「海外共同研究」24件及び公募型以外に拠点間強化を目的とした共同研究16件、計152件を採択、実施された。導入したオンライン会議システムを通じて研究交流が活発に行われている。
重点では国内の大学・研究機関の研究者と重点課題についての戦略的な共同研究を展開し、若手では35歳以下の若手研究者を対象として重点的に支援を行い、当センターの施設やデータベースを活用した共同研究を推進しました。
2月の年次報告会(ハイブリッド)では、国内外から約200名(現地参加124名、オンラインフラッシュトーク67名、オンラインポスター発表延べ104名)の発表者および参加者があり、制約がある環境においても積極的な意見交換や議論がなされ、分野横断型の研究を推進しました。これら令和5年度の共同研究の採択者により、森林、陸水分野、海洋生態系分野、農産物分野などから168報の論文が出版されました。
原発事故後に多くの研究者や政府機関により測定された貴重かつ膨大なデータを次世代に残すため、様々な機関からデータを収集し、DOIを付与・出版しています。
構築したデータ検索システムでは、時間、緯度、経度、高度・深度、空間、放射性核種の名前、サンプルのタイプなどを指定することで、これらの出版されたデータおよび他機関から公開されているデータの一部を含めて串刺しで検索し、ダウンロードすることができます。
令和5年3月現在、これまでに出版したデータセットは54件、総レコード数は253万、ダウンロードされたデータセット数は10,780となっています。また、原発事故直後からの環境試料についても、DOIの付与・出版を進めており、現在8件の566サンプルが公開され、ダウンロード可能となっています。今後、モデル計算データについてもDOI出版に向けて取り組んで参ります。
これらのデータは、環境放射能の研究者だけでなく、世界各国の政策決定者を含むすべての人への正確な情報提供を目的にCreative Commons Attribution 4.0 International Licenseのもとで完全公開しており、利用者数は増加傾向にあります。
今後、このデータベースを後世に残し、社会に活用される唯一無二の貴重な研究資源として充実させて参りたいと考えています。
北海道大学
帯広畜産大学
東北大学
弘前大学
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