研究所・研究センター一覧

京都大学霊長類研究所

Primate Research Institute, Kyoto University
  • 第2部会
  • 共同利用・共同研究拠点

研究所・センターの概要


所長
湯本 貴和
Yumoto, Takakazu
キーワード
霊長類の総合研究、人間の進化、学際的研究、国際化
住所
〒484-8506
愛知県犬山市官林41-2

霊長類研究所は1967年に「全国共同利用研究所」として、京都大学に附置されて以来、各種霊長類をさまざまな視点から研究し、人間の起源の解明を総合的に進めています。霊長類学は日本の固有種であるニホンザルの野外観察研究からはじまり、日本が世界をリードしてきました。現在では文・理融合型のフィールドからゲノムまでの研究組織を形成し、「ヒトとは何か」の解明を命題として、学際的な研究をめざしています。また、2010年度から共同利用・共同研究拠点として認定され、国内外の研究者が利用できる研究体制をとり、幅広い基礎研究を遂行し、他に類のないユニークな研究を生み出しています。霊長類研究所は現在5研究部門と2附属研究施設を擁し、「くらし」「からだ」「こころ」「ゲノム」のキャッチワードを掲げ、あらゆる角度からヒトを含めた霊長類の解析を推進しています。

平成29年度の研究活動内容及び成果


くらし

メス優位社会のボノボでオスの繁殖戦略を解明する
他の類人猿ではオスが圧倒的に優位なのに対し、ボノボではメスたちがオスと対等以上の社会的地位を保っています。メスたちは、年長の優位なメスを中心に集まり、年長のメスが年少のメスを助ける形で連合を組んでオスからのハラスメントを防いでいます。最近のDNA分析による父子鑑定で、生まれてくる子供の半数以上が第一位のオスの子であることがわかりましたが、これも、年長の優位なメスの息子がオスの第一位に就くことが多く、そういったオスが母親とともに行動することで、まわりにいるメスたちと多くの交尾機会を得ることができるためだとも考えられています。Animal Behaviour, 2016; Behavioral Ecology and Sociobiology, 2017; Royal Society Open Science, 2018

からだ

朝鮮半島の化石マカクザルの系統を解析する
上顎骨の形態に基づいて、韓国中部のDurubong洞窟の堆積物(中期更新世後期~後期更新世)から産出したマカクザル化石の系統的位置を推定しました。結果、韓国産の化石は現生のニホンザルと系統的に近縁である可能性が高いことが分かりました。また、韓国産の化石と現生のニホンザルの形態的な類似性が示されました。Journal of Human Evolution, 2018

こころ

チンパンジーが協力して課題解決することを証明する
2人で連続的に協力しなければ解決できない課題を考案し、チンパンジー2人が解決できるか観察することで、チンパンジーが役割交代をしながら連続的な協力行動をとることを、世界で初めて実証しました。3組の母子ペアでテストしたところ、興味深いことに、母を真似するように子どもが対応する流れが顕著で、社会性の「母から子へ」という学習体系が見られました。本研究はヒト以外の動物の協力行動・協応行動を研究する新しいパラダイムを作ったといえ、役割交代の進化を考えるうえで貴重な知見をもたらしました。Scientific Reports, 2017

マーモセット脳の全細胞核染色法を開発する
成体マーモセット脳の全細胞核染色法を開発し、サブミクロンレベルの空間解像度で成体マーモセット脳にある全細胞の分布・形態情報の取得することに成功するとともに、マーモセット後部帯状回の神経投射を可視化し、マウス後部帯状皮質の神経投射との差異および共通する回路を明らかにしました。Neuron, 2017

ゲノム

ヨザルの夜行性への適応を視細胞構造で証明する
真猿類は昼行性ですが、例外が1つだけあります。南アメリカの森に棲むヨザルで夜行性です。視細胞(光を受けて、脳へ向けての電気信号を発する細胞)に微小なレンズが備わっていて、これが夜間視力の増強をもたらしています。ヨザルのゲノムには、最近急激に量が増したDNAがあることを突き止めていましたが、このDNAが微小なレンズの本体となっていることを視細胞の構造を調べて証明しました。Genome Biology and Evolution, 2017; 2018

社会との連携


広報活動

研究成果を社会へ還元する目的の一環として、研究所内での公開講座、霊長類学フォーラム、市民公開、オープンキャンパス等を通して、講演・実習・演習による研究成果の公表や霊長類学の啓発を毎年実施しています。また、年報を作成し、研究成果や実施した事業の報告を自己点検評価として紙面とホームページで公開しています。

国際化戦略

平成22年に国際共同先端研究センターを設置し、英米加の外国人教員を採用するとともに大学院国際コースを実施しています。海外派遣事業等とも連携を図り、国際化を強化し国際共同研究拠点の形成を推進することで、より新しい視点を社会へ還元することを目指します。

教育活動

研究所は「京都大学理学研究科霊長類学・野生動物系」の大学院生の定員を持っており、その一部をつかって国際コースを設置しています。それによって大学院生の外国人比率を30%前後に維持しています。リーディング大学院プログラム・オンリーワン型「霊長類学・ワイルドライフサイエンス」が平成25年度から採択されました。それを基盤にして従来の研究者養成に加えて、新たなグローバルな視点を持った博士を輩出することを目指しています。

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Links

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